クロアチアの首都ザグレブから、ボスニア・ヘルツェゴヴィナに向かって南東方向に進み、バスに乗って1時間半ほどすると、マラ・ゴリツァという小さな村にたどり着きます。森林に囲まれた広い敷地内にプレハブの住居が80棟並んでいます。これはクロアチアで激しい内戦が起きていた最中の1994年から1995年にかけて日本政府がUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)を通じて730万ドルを拠出し、設立された日本難民センターです。
学習院女子大学ではラオス、カンボジアに続いて3つ目の国際協力研修として、2007年より毎夏、クロアチア・オーストリア国際協力研修が行われています。これまでのところ、学習院大学の学生も毎年、参加しています。第3回研修は2009年8月12~19日に実施されました。主な研修先は、このクロアチアの日本難民センターです。
設立当初より様々な難民の方々が入れ替わり居住してきたプレハブ住居で空いている棟に、研修参加者は数人ずつ寝泊りします。老朽化は進んでおり、お湯もあまり使えない、ガスコンロがないという不便さもありますが、難民の方々が内戦時の過去の心の傷跡を癒しつつ、静かに生活を営んでいる様子を垣間見ることができます。
外部の者がほとんど誰も訪れることのない、周囲に商店も何もない僻地にある難民センターで、子供たちは年に一度の私たちの来訪を心待ちにしています。日本文化紹介のワークショップには年々、大勢の難民の親子が集まって、笑顔で一杯になります。難民のご夫人方は手先が器用で、素敵なレース編みを作っています。私たちはボランティアでそれも購入し、大いに喜ばれました。わずかとはいえ、経済的に厳しい難民の方々の生活費の足しになれば、と願っています。
翌日は難民の子供たちを一日お世話して、一緒に日帰りバス旅行に出かけます。今年は世界遺産プリトヴィツェ湖群国立公園に行きました。綺麗な湖と滝が無数にある絶景を堪能し、心身共に生き返ったようになります。しかし、バス旅行の道中では、未だに内戦で破壊された家屋や地雷注意の看板をあちこちに見かけ、ボスニア国境付近のこの地域が紛争地帯であったことには深く考えさせられました。
難民センターを訪れる前には、在クロアチア日本大使館を表敬訪問し、現場の外交官から貴重なお話を拝聴しました。また、ザグレブ大学日本語学科の学生さんたちとディスカッションをし、ザグレブ旧市街を一緒に散策しました。世界一短いケーブルカーにも乗りましたが、印象的だったのは、ザグレブ大学の学生さんのお陰で、今年は思いがけず、国会議事堂の内部を見学することができたことでした。
クロアチアとの往復に際しては、日本との直行便がないので、オーストリアのウィーンで乗り換えます。この機会に、復路では、世界遺産となっているウィーン歴史地区に2泊し、国連本部を英語のガイド付きで視察しました。その他の空いた時間には世界遺産シェーンブルン宮殿を始め、シュテファン大聖堂、王宮、市立公園、美術史美術館も見学しました。音楽の都での最後の晩には着飾って楽友協会の黄金ホールへ赴き、ウィーン・モーツァルト・オーケストラの生演奏を味わって、短いヨーロッパ滞在は締めくくられました。


